あなたが手にしたのは、けれど青一色だった。それは空や海の色で、あなたの国のことばでは、緑を指すこともある。取り繕うことをしないものはみんな青いろをしている。それがそのままでそこにあるとき、それはきっと青いろなのだ(「青い靴」より)
文筆家・映像家の関根愛さんによる、実話を基にした創作短編集。主人公が生まれてから大人になるまでに履いてきた、8つの靴を巡る物語。
家族という人間関係の中で「あなた」が受けた愛と傷。愛したい、許せない。分かちあいたい、解りあえてたまるものか。
痛みと願いは、いつも同時にそこに在った。
家族を愛することと憎むことの間で揺れながら、ままならなさを抱えて生きる、すべての人へ。
装画は阿部海太さん。包み込むような、照らすような青。(嶋本)
著者:関根愛
サイズ:B6判
その他:131p