「お父さんとお母さん、兄さんとわたし。家族となるには、必ずさまざまな営みがあって、そしてみんなここにいる。男と女、大人と子ども。生と性のなかで生きていく人間たち。ここに描かれているのはそんな中で息づく一人の女の一生です。強く鋭く短い言葉と繊細で優美なエッチング。佐野洋子が赤裸々に語る人の世の真実、そして生への賛美と嘆息。それらが大胆におおらかに、シニカルさとユーモアを伴って生き生きと描かれています。第一部は子の目線で母親を描き、第二部は自身の娘時代が反映されている内容ですが、その両方のつながりの中で始まり続いてゆく女の一生は不思議な迫力をともなって読者を魅了するでしょう。著者の自伝的物語でもあり普遍的な物語でもあり。本書は90年代にトムズボックスから少部数のみ出された2冊をまとめ、復刻したものとなります。解説に江國香織。装丁はアリヤマデザインストア。
著者:佐野洋子
発行:港の人
サイズ:132mm x 188mm
その他:112P / ソフトカバー