2022年秋にスタートしたマイクロ出版「palmbooks」。
立ち上げたのは出版社から独立したばかりだった加藤木礼さん。
編集者としての経験の中から手がけた1作目は、エッセイの名手と知られていた芥川賞作家・赤染晶子さんの『じゃむパンの日』。
生まれ育った京都での日々を軽快でユーモラスに、そして時に愛情深く綴った本書は当店でも定番となりつつある1冊。
そんなpalmbooksの2冊めの書籍がこの度刊行いたします。
「あなた」と「きみ」をめぐる掌篇小説のアンソロジー「palmstories あなた」。
津村記久子、 岡田利規、 町田康、又吉直樹、 大崎清夏の鋭敏で個性光る書き手による書き下ろし作品5篇を収録。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あなたが私に寄越してくれたさまざまな物が、
もしその時に手に入らなかったとしたらと考えると、
ちょっと恐ろしいなという気がしてくる。
津村記久子「六階を見習って」
此の度は機会を与えてくれてありがとう。
本当に感謝している。(...)
そんな僕がつい、本当に、と書いてしまったのは
マジで貴殿に感謝しているからだ。
町田康「言ひ譯」
あなたは引っ越してきたばかりの街を
一人で歩いている。
又吉直樹「行列」
なんであれば出来事とも呼べないかもしれないくらいのもの、きわめてうっすらとした出来事のようなものからでさえ、忘れがたい印象をふいに得る、ということはきみにももちろん時々起こる。
岡田利規「一月、生暖かい月曜日の午後のこと」
茂呂来さん、茂呂来さん、聞こえますか。(…)きっとそちらはいま、おくつろぎタイムですよね。
大崎清夏「眼鏡のバレリーナのために」
- palmbooksより
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(原口)