効率性や規模の拡大を最優先とする経済の在り方、人間ひとりひとりがそれに順応であるよう求められる巨大な社会のシステムに疑問を持ち、新しい生き方を探求する人々の問いと実践の物語を紹介する雑誌『新百姓』。利便性に重心が置かれ益々依存せざるを得ない社会システムの中で、少しだけ視点をずらし、古来からの根源的な営みに焦点をあてていく。日々を生きるうえで大切にしていたい自由さと豊かさについて考えます。
創刊号に続く第一号目となる本誌のテーマは「水をのむ」。そもそも、わたしたちが日々行う「水をのむ」行為って?「水をのむ」の始まりと、都会のど真ん中で考える、自分たちで「水をのむ」仕組みのつくりかたとは?山の湧水、雨水、水道から流れる水、自動販売機の中で売られている水。いつからか、わたしたちはお金を払い飲み水を確保するようになっている。最も身近で、命を繋いでいくうえで欠かせない存在であるからこそ深く理解し、自らの手でコンテキストを掴んでおきたい。人類学者・中沢新一さん、探検家・関野吉晴さんのインタビューをはじめ、文明と物語の視点から、或いはデザインと科学の視点から、調和と喜びとからだの視点、様々な角度から「水をのむ」を見つめ直します。巻末には、探求者・連勇太朗さんによる現代の「建築」をとりまく課題らについてのテキストや、編集長・おぼけんさんによる「23世紀の昔話」、世界の見方に変化をもたらしてくれる書籍の紹介、人間が生きている限り「なくてはならない、なくしたくない99個の営み」などを収録。今回も誰もが一人ひとりの内に持つ、創造性をほどく豊かなヒントで満ち溢れています。
本誌は、大量に刷られ、棄てられていく現在の出版や流通とは異なる新たな出版と書店のあり方を模索する試みとして増刷は行われません。第一号も、全てナンバリング付きでお届けいたします。(韓)