空が白む出発の朝のパーキングエリア、窓からの景色がもたらす新しい生活への決意、土を耕しカルチベイトされる心、大切な人を迎え送るお盆、秋雨の音とひとりでいること、友人たちと意味もないことをして過ごすリバーサイド、低い陽の光で温かくなった誰もいない午前のバス、知らない土地の知らないコンビニで調達する朝食、炬燵に集まる家族の食卓。
国内外の雑誌や書籍のカバーなど様々な媒体で多岐に活躍するイラストレーター小幡彩貴さんは、クライアントワークとは別に個人作品において季節をテーマにしたイラストレーションを描き続けています。ミニマルかつスマートな描線から生まれるその世界は、四季の変化とともにある日常の何でもない一瞬を映画のワンシーンのように描き出し、現実やフィクションを通し迎えては過ぎ越した時間や景色、感情や記憶を見る者に想起させます。これまでリリースし即完売したzineから厳選した作品に新作を加えた作品集の第2弾では、モノクロ作品を中心としながら、差し色のように採り入れられたカラー作品も収められています。新鮮で懐かしく、パーソナルかつユニヴァーサルなその作品世界をお楽しみください。(涌上)