ポケットにインスタントカメラを忍ばせ街を歩く。撮影回数は決まっている。毎日シャッターを押すとは限らない。
本書はフォークシンガー世田谷ピンポンズが少しずつ撮りためた写真を現像し、想起された記憶を書き留めた随筆集。
写真は「写ルンです」で撮影されています。1986年に販売が開始したレンズ付きフィルム「写ルンです」は、まだカメラや写真が珍しかった時代、たくさんの人のファーストカメラになったそう。当時は様々なインスタントカメラがあり、コンビニや売店などに普通に販売されておりました。そんな文化を携帯し、自らの琴線を頼りに撮影して歩くのは、今だからこそ新鮮なのだそう。
写真のモチーフはどれもどこか、名残惜しさを感じるようなものばかり。影から見つけたのか、街灯から見つけたのか、影と街灯。背の丈サイズの住宅街にある信号機。公園に鎮座する摩訶不思議な動物。書泉グランデ。想起された思い出の数々は写真と共に11編。
造本も凝っております。紐付きの封筒に中綴じ冊子とカードが2枚入っており、お読みになった後でも表紙が広がらず収納できます。
たまに思い出す街や人に会いに行きたくなるような1 冊です。
※シリアルナンバーが入っています。
(原口)