土地とのつながり、ものとのつながり、人とのつながり。それらによって形づくられた日々の営みの流路を丁寧に辿り、美しく切り取られた写真とレイアウトで紹介する雑誌『nice things.』。今号の特集は「生きていこう、 作ることで」。
誰もが手を動かし、その人らしさが垣間見える何かを作っている。視認ができるものもあれば、輪郭を持たずおおきく根付いていくものも。
陶芸の町・鹿児島県日置市美山に位置する、本と珈琲、古道具と過ごす静謐な書架「夏ノ庭」のオーナーである吉田耕平さん、伝統的な製法により手捏ねで生地を生産し、薪窯で焼き込むパンを提供する「野路」大嶋宣孝さん、大嶋彩さん。自然の巡りと豊かな土の生態系を大切に、無農薬・無化学肥料栽培のさつまいもを育てる「風の土」谷本和也さんほか、その土地での暮らしを大切に、自身の日々を丁寧に掬い上げ作っていく人々の物語を収録。食と真摯に向き合う連載「おいしい、って、どこ、から。」、ひとりのソウルに宿るひと皿を紹介する「ソウルフードトラベラー」の連載も。
さまざまなものや事象を組み合わせ、空間や、料理や、長く残り続ける場所を作る。生きていくうえでひとつの基盤となる「作る」という行為に深くフォーカスをあて、点と点をゆっくりとつなぎ合わせながら、周囲を取り囲う環境や役割との関連性を紐解いていく大切な一冊です。