梅はそのままでは食べられません。私たちが日頃手にする果物のなかでも、梅は変わった存在です。梅干しにしたり、梅酒にしたり、砂糖に漬けたりと、加工しないと食べられないからです。
だけど梅を仕込む作業を「梅仕事」とよんで楽しみにしている人がたくさんいるのは何故なのでしょうか。（「はじめに」より）

食を切り口とし、さまざまな場面でコミュニケーションデザインを行う中山晴奈さん、気に留まる些細な物事を捉える写真家の川瀬一絵さんによる「梅」にまつわるレシピブック。 梅雨の時期の数週間しか出回らない梅を、人々は何故わざわざ保存し、加工し、食すのか。基本となる梅仕事の準備方法をはじめ、梅の干し方、シロップの作り方、混ぜる、漬ける、共に煮る、といった57の梅レシピを川瀬さんによる滋味深い写真と共に丁寧に紹介。梅のポテトサラダ、みょうがの梅酢漬、梅しょうゆ、梅ミルクや梅干しトマトジュースまで…。
巻末には梅仕事にまつわるQ&A、ナリワイ遊撃農家の伊藤洋志さんによるエッセイと栽培解説も収載。細かなことを気にすることなく、おおらかに梅仕事ができる秘訣やヒントを満遍なく収録しています。
今年はじめて梅仕事を行う人にも、毎年梅仕事を楽しみに待つ人にも嬉しい、台所に大切に置いておきたくなる一冊です。