−中世キリスト教世界における動物たちの姿は、現在のものとは大きく異なっていた。
これらの動物たちは唯一神の正当性を証明するために創られ、
科学の発展とともにその実を失い「名無しの動物たち」となった−
イラストレーター・デザイナーとして活動を行うオカモトレイコさんによるイラスト図鑑。動物寓意譚(12世紀ごろの中世ヨーロッパで広く読まれた動物に関する装飾写本)を中心に、中世キリスト教世界の動物たち21種を、オカモトさん独自の目線より描いています。さまざまな動物や植物、鉱物の性質や特徴を紹介した、日本語で読める動物寓意譚を作りたい、という想いのもと刊行されました。
実際に読まれていた中世の豪華写本と反対となるようなデザインで制作を行なっており、製本はゴシップ紙やタブロイドをイメージし、タブロ紙を用いた中綴じ製本を起用。オカモトさんが制作されたオリジナル書体を使用し、印刷色を写本内で使われることの多かった黒・赤の2色刷りに絞ることによりグラフィカルな仕上がりとなっています。大胆な形と線で描かれた動物たちが思わず目を惹く、美しくも胸躍る一冊。