ある日、くさむらで出会った一頭のバイソン。「わたし」はそのバイソンが大好きになり、毎日会いに行く。やがてお互いになくてはならない存在になる…。小さな少女と大きなバイソンが織りなす不思議な触れ合いと別れ。淡々と綴られる言葉の中には、バイソンとはなんなのか、なぜそこにいるのか、そんなことは何も語られません。けれど、かけがえのない他者がいる、という想いが小さな結晶のようにこの物語には満ちています。流れる時、あたたかな記憶、目には見えないもの…ベルギーの絵本作家、ガヤ・ヴィズニウスキが抑えた色で描く静かな世界が、様々な想いを見る者に語りかけてくれます。やわらかな翻訳と美しい装丁は、音楽やデザインなど様々な方面でも活躍する清岡秀哉さん。