画家・片桐水面さんの初作品集。一枚の木片に描かれた素朴な絵、キャンバスに賑やかに描かれた絵。濃密に塗られたタッチに見え隠れするユーモアと、沈んだ色の中に宿る不思議な明るさが見る者を魅了します。片桐さんの絵は、当店でも雑誌「ぽかん」や「もりのこと文庫」などでもお馴染みですが、ここにはまた違った表情の作品が集められ、その魅力を様々に感じられる充実した内容に。プリミティブで子どもの絵のような顔も持ちながら、驚くほどの透明感と洗練さとを持ち合わせた不思議な画風。静かな祈りすら感じさせるその空気を感じてください。串田孫一の文をひいて「筆に導かれるように絵ができていく」と語る片桐さんの創作への姿勢と矜持も感じられる一冊です。