一年の歳月を通して一つの家族を取材し、一冊まるごと取り上げる雑誌
『家族と一年誌 家族』。そのウェブサイト上で、編集長である中村暁野さんが2016年より書き続けている日記が一冊の本になりました。雑誌作りを通して家族のあり方を模索するうち、中村さんがたどり着いた形は「たとえわからなくても、わかりたいと願いながら寄り添いともに生きる」こと。本書は身近なようで時に遠い家族という小さな社会に向き合う日々を淡々と書き続けた、5年に渡るひとつの家族の記録です。
わたしたちはひとりひとりちがう別の人間。そんなことわかっているのに、心地よいとは思えない幾つもの「ちがう」部分。それを責めたり、許せなかったり、同じ方を向いてほしい、と願ったり。ずっと自分がそうしてきたことに気づきました。わたしたちは、わかりあえないかもしれない。でも、わからない、その人のことを想像して、歩み寄れたら、と願っている自分がいた。相手がいた。それでいいんだ、と思えました。(「はじめに」より)
よいこともそうでないことも、嬉しいことも悲しいこともありのままに。なんでもない日々のかけがえのなさと、一日一日の積み重ねを経て変化していくさまざまなものごと。夫の中村俵太さんによるカラー写真も多数掲載。家族とは、幸せとは。答えの出ない問いについてあらためて考えるきっかけをくれるような一冊です。(岡本)
・家族と一年誌 家族
http://kazoku-magazine.com