自然の中で、植物たちは”天然の香り”を漂わせます。その香りには、姿や形はありません。そのため、ともすれば、その存在が大きいものには感じられません。しかし、その香りの多彩な働きに目を向ければ、「”ただもの”ではない」という香りの姿が浮かんできます。（本文より）

私たちの身近に存在するハーブや野菜、果物、野草などの63種類の植物に焦点をあて、その香りの持つ特徴や働きについて、植物学者の田中修さんと脳神経学者の丹治邦和さんがエビデンスを交えながら丁寧に解説。ときには人々の心を癒し、ストレスを和らげてくれたり。その色香に惹きつけられ、切り花や生花として室内に飾ったり。あるいは食材の味を生かして、料理の風味を高めたり。近年は鎮痛や殺菌、消化を助ける、などといった効能も科学的に明らかにされつつあるそう。
何故植物は香るのか。そして、何故それがヒトの心と身体に作用するのか。この本に目を通したあと、スーパーやお花屋に足を運ぶのもよさそう。香りを活用し生きる植物の持つたくましくも美しい生命力をも堪能できる一冊です。