「暮らしとは私と言う主語を持つことだ。多くの手本があったとしても真似ばかりではつまらない。少しくらい雑でも、ダメなときがあっても、自分の楽しみを探すことこそ私が望む暮らしのありかた。迷いながらも衣食住を営み、働き、学び、遊んで、寛ぎ、繰り返す日々の中にときどきご褒美みたいな出来事が待っている。」ー「はじめに」より
文筆家・甲斐みのりさんがこれまでに様々な媒体で寄稿してきた「暮らし」にまつわるエッセイたちを厳選し、再構成され刊行されたこちらの一冊。『たべるたのしみ』の姉妹書でもある本書は、甲斐さんならではの独自の視線で汲み取られた日常の情景や、毎日の慈しみと愉しみ方が惜しみなくたっぷりと綴られています。甲斐さん家の夏支度の様子。宝物のように大事に持っていたお菓子箱。小学校高学年、水でじゃぶじゃぶと洗ったハンカチに、バニラエッセンスを滴らせてみたり。スケッチブックに「好き」をただただ綴ってみたり…。ページをめくるごとに、心の奥底にあったいつかの記憶が蘇ってくるよう。どこか懐かしくもあたたかさを含む装丁は、『たべるたのしみ』と同じく湯浅景子さんによるものです。
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