「がりがり」「ほいほい」「とぼとぼ」「じろじろ」など、いわゆるオノマトペの中でも「ふたつ重なったことば」を「名前のないことば」と定義し、その様々な用法がなぜか動物の家族に仮託されて本書では自在に紹介されています。「いいじゃんか粉チーズくらい、けちけちすんなよ」「外で遊んでくれると家事がさくさく進むわ」といううように、亀や猫など7種の動物一家が織り交ぜながら使う言葉たちの生き生きとしていること! そうそう、あれねーと膝を打ちたくなるような楽しい例がいっぱいです。『うろおぼえ一家のおかいもの』など遊びころが満載の絵本作品でも楽しい世界を展開する独特の作家・出口かずみさんによる特殊な一冊。言葉本の中でも新しくも奇妙な風を吹き込んでくれる魅力に満ちています。挟まれた四コマ漫画や架空の手紙など一休みのページも工夫が凝らされており、老若男女問わず楽しめる作品です。