ぼくは40歳を過ぎてからこの小さな街に小さな本屋を作った。
誰に笑われてもかまわなかった。
それはぼくの人生で、生きることのすべてだったのだから。
これはぼくの、ぼくだけにしか体験し得なかった物語だ。
そしてその物語はいまもなお続いている。
(本文より)
岩手の盛岡に位置する小書店「BOOKNERD」店主・早坂大輔さんによる初のエッセイ。書店でのアルバイト経験もなく、出版社にも勤めたことのない、ただただ本を愛する「本オタク」早坂さんがサラリーマンを経て、起業に失敗し、それでも決して手放すことなく「BOOKNERD」という名前の場所をつくるまでの紆余曲折と、日々の中で目にした様々な出来事が静かに熱を帯びた文章で綴られています。
好きなことをして生きていくことの大変さと、その中にあるまばゆさ、苦しさと、どうしようもないほどの孤独感と、なんともいえない喜びについて。『わたしを空腹にしないほうがいい』でお馴染みの歌人・くどうれいんさんにまつわるエピソードまで。書き下ろしのブックレビュー「ぼくの50冊」も収録されています。
就職するだけが人生ではない―本を愛する人へ、生き方に悩んでいる人へ、そんな全ての人にぜひ目を通していただきたい一冊です。