アリスはアリスでも、こちらのアリスは写真の国に迷い込んでしまうアリス。レンズをのぞけば、不思議な視覚の世界が広がります。X線写真に赤外線カメラの不思議さ、天体望遠鏡の雄大さや連続写真の面白さ。カメラやレンズの持つ様々な能力と作用を愛らしい少女の目で追った本書。構成は写真評論家の飯沢耕太郎。ルイス・キャロルも実際に写真好きであったことから発想された、「たくさんのふしぎ」の中でも愛される一冊です。早川司寿乃さんによる挿絵もエレガントでアリスにふさわしい魅力。経年によるくたびれはありますが、雑誌えほんの古書としては標準的な状態です。