時代に取り残され、消滅しようとしている民衆芸術に いま、光を当てる。
民衆が土着の自然素材を用い、それぞれの美意識をもって生み出してきた「玩具/おもちゃ」。兵庫県姫路郊外。土蔵造りの私設博物館「日本玩具博物館」のコレクション9万点以上のなかから選りすぐり、文と写真で紹介する渾身の一冊。
張子の鬼面、イヌイットの骨のけん玉、麦わら細工の天使、バナナの葉でできた人形…。各地に伝わる伝承や風土と密接に繋がり、多様な姿を見せる玩具たち。付された紹介の文章も、それぞれに滋味深く、独立したコラムのように読み応えがあります。
著者は、日本では数少ない世界玩具の学芸員、尾崎織女さん。美しい写真は、高見知香さん。本書の企画をした、軸原ヨウスケ(COCHAE)さんのこだわり抜かれた造本にも注目していただきたい一冊です。