ひさしぶりに会うたびきみは生きていて新鮮さに泣きそうになる
前髪にかけてきた気が遠くなるほどの時間の一部にあなた
フラれた日よくわからなくて無印で箱とか買って帰って泣いた
レトルトのカレーに野菜を足して煮てふつうに幸せだったと思う
歌人・ライターとして活動する伊藤紺による初の歌集が、このたび装い新たに短歌研究社さんより刊行されました。日々の欠片、目、耳、肌、髪など五感でつかまえられた、のびやかで健やかな言葉たち。連作「期待」「difference」「口ぐせをうつしあったらばらの花」「バランス」「ザ・ピース」のほか、書き下ろしの短歌も多数掲載。箔押しの施された表示と、ページごとに異なるレイアウトで並べられた文字列も美しく、ひとつひとつ、丁寧に指先でなぞりながらお読みいただきたい一冊です。ブックデザインは脇田あすかさんによるもの。(韓)