子どもたちに優れた音楽とのふれあいを、との企図で昭和40年代に刊行されていた世界出版社の「コンサートブック」シリーズ。本もまた音楽への扉であるとの思いで、クラシックの名曲に触れられる内容で物語や音楽紹介を行なっています。本書はフィンランドのシベリウス特集。冒頭には「フィンランディア」の紹介、フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」から表題作を、それ以外にもフィンランド民謡など幅広く紹介された内容です。そしてなんといっても全編を通じて描かれる鈴木義治の挿絵が素晴らしい。淡い色彩と叙情性で北欧音楽の世界が見事に表現されており、昭和の絵本ならではの懐かしさも味わえてファンには必見の美しさと愛らしさです。作品解題のしおりつき。経年相応のくたびれは見られ、後ろ見返しの部分にシミも多くみられますが、それ以外は本文には目立つ難はなく古書として標準的な状態です。