「ニューヨーカー」誌に掲載された、イラストと聞き書きによる世界の書店めぐりが一冊の本になりました。書店という存在そのものを愛する著者によって選ばれ描かれ語られるそれぞれの本屋の姿は、チェーンの店とは異なる独自の路線をあゆむ気骨のある店ばかり。サンフランシスコのCity lights、バークレーのMoe’s books、ニューヨークの古書店Strand、ポルトガルのLivraria Lello、そして神田神保町の街並みに至るまで、美しいタッチの絵と店主たちが語るとっておきの短いエピソードが添えられ、本屋好きなら感応せずにはいられない世界がそこには広がっています。取次をあまり利用しない欧州やアメリカの書店は真に独立系の名にふさわしい店も多く、その意味でも、現代に本屋を続けることの意義すらも行間から伝わって来るよかのよう。本屋のある風景はいい。そんな心の元、まだまだどの店にも頑張って欲しいという願いも込めて贈る書店愛に満ちた一冊です。写真ではなく絵、という点もどこか穏やかな郷愁を感じさせて素晴らしい。