詩人・菅原克己の詩を、山川直人が漫画化したユニークな本書。代表作「ブラザー軒」をはじめ、「菅原克己の詩を漫画にしてみたかった」という山川氏がコツコツと描きためた作品13作が掲載されています。どこか懐かしく暖かくでもややうつむき加減なこの詩人の語る日常の風景を、特異なタッチで描き出すペンが素晴らしく、文学と漫画、詩と漫画の融合をこんなに豊かに読者に呈してくれるその世界観にはやはり独特のものが。「ふだん詩を読む習慣もない」という山川氏ですが、だからこそ体で感じ何かを言いたくなったという菅原克己の魅力が様々に伝わる内容となっています。菅原ファン、山川ファンの両方に渡る架け橋のような一冊。