アンドレ・ブルトンの命日にあたる2016年9月、『アンドレ・ブルトン没後50年記念出版シリーズ』として、シュルレアリスムの核心を衝く本邦初紹介の著作4冊がエディション・イレーヌから刊行されました。その第一弾が4月に刊行された本書『太陽王 アンドレ・ブルトン』。石を拾い、太古の世界と交感するブルトン。その姿をアンリ・カルティエ＝ブレッソンが写真13点と文で伝える表題写真集をはじめ、石をめぐる秘教的な心象を綴った晩年のエッセイ『石のことば』とともに、ブルトンの魔術的宇宙観の精髄をみます。訳者、松本完治氏の20頁にもおよぶ解題「詩の呪力への回帰」は、ブルトン像ならびにシュルレアリスムの先入見を払拭し、真の思想像に迫ります。