華道草月流の創始者として世界各国で高い評価を受ける著者が、ヨーロッパを訪れた時の旅の記録。パリの花屋と日本の花屋の比較、美術館について、エッフェル塔のデザインについてなど、著者ならではの着眼点から語られるヨーロッパの街は非常に興味深いものです。また、当時パリの画壇で活躍中だった藤田嗣治のもとに、写真家の木村伊兵衛と訪れたエピソードや、自身の息子であり映画監督の勅使河原宏への旅信も掲載。ひと味違う旅行記として楽しめます。その一方で、異国を旅する一人の人間として食文化や現地の人々についての発見を思うままに綴りながら、たくさんの写真とともに当時のヨーロッパの姿を映した一冊です。
著者:勅使河原蒼風 / 出版社:東峰書房 / 199mm × 150mm / 173P / ハードカバー / 1956年発行 / G