年齢も職業も様々な女性によって作られる雑誌「根っこマガジン」3号です。特集は「働くということ」。働き方の多様化も重視される昨今ながらも、やはりまだまだ就職して給料をもらい…というスタイルは根強い。今号では、そこから一歩はみ出し踏み出した人々を丁寧に取材しています。転職先を一日で辞め沖縄でパン屋を始める、京都西陣の地域に根差しながら建築家として働く、持続する農業を目指す農業高校の取り組みから見る豊かさ…などなど、薄い雑誌の中に詰まった話題の豊富さと多彩さが読んでいて興味深く心強い。巻末には、京都大学・藤原辰史さんへのインタビューも掲載され、ナチスの労働論から見える現代の労働のあり方についても考えさせられるものがあります。「働く」から「はたらき」へという藤原さんの言葉の重みと軽やかさ。根っこを持った人々を紹介する京都発の雑誌、すっきりとしたデザインの読みやすさも魅力です。