このプロジェクトは、2つの動きにより展開された。
ひとつは、歩くという行為そのもの。つまり、与えられたテリトリーの隅から隅までを網羅すること。
そしてもうひとつは、答えを探し求めるのではなく、
起こりうる現実について対話をはじめるための、新たな問いを模索する、絶え間のない問いかけ。

今回実践された散歩は、写真と人類学という二重のアプローチにより刺激を受け、
同時に2つの異なる関係と言語を示唆し、最終的には視線と相互作用のゲームと同様に、
人間の問題に耳を傾け、理解することから生み出される宇宙全体を提示するために組み合わされた。
（本文より）

スペインの写真家・Israel Ariñoと人類学者・Irma Estradaによるコラボレーションにより生まれた本書。北フランス・アミアン地域を舞台に、アーティスト・レジデンシー（芸術家が一定期間異なる場所に滞在し、芸術活動やリサーチを行うこと）の一環として実施された当プロジェクト。二人は一年弱の間、数回に渡り共に時間を過ごしました。歩くことと、起こりうる / 可能性のある現実について対話を続けること。訪れた土地の人々とのつながりをも発見し、そのプロセスの狭間で生まれる共通点にフォーカスをあてています。根づく記憶と深い息づかいを残していくような、またたく光のように点在する大胆な白黒写真、相補的な視点から生まれる静謐な余白をおさめた一冊。（韓）