クリスチャン・メンデルツマはデザイナーという立場から、身の回りの製品と原材料の背景にあるストーリーに着目し、新たな解釈を探求するアーティスト。
本書は「05049」とナンバリングされた一頭の豚から生産されるすべての製品を、3年の月日を費やして調べ上げ、まとめた作品集。石鹸、コンクリート、塗料、ケーキ、ペンキ用の刷毛、カップ、タバコ、人工心臓、銃弾…豚の身体からつくられた185にも及ぶ製品が、誰もがわかりやすい形で図案化されています。
「現代の商業生産では、原材料と最終製品の間に非常に多くの段階があります。そして、その間に多くのステップがあるため、知識が失われてしまうのです。例えば、養豚業者も自分の豚から作られる最終製品をすべて知っているわけではありません。なぜなら、それがどこに行くのかを知らないだけなのです。」
わたしたちの身近にあるものが一体何からできているのか?普段の生活の中ではあまり考えが及ばないような事象に目を向け、思考を巡らすきっかけとなる一冊。
ブックデザインもメンデルツマ本人によるものであり、100年後に掘り起こされ、その時代の暮らしが明らかになるかもしれないタイムカプセルのようなものをコンセプトにしています。
2008年にDutch Design Award、2009年にIndex Awardの「Play」部門を受賞。