新大阪と広島間、仕事で毎日のように山陽新幹線「のぞみ N700A系」に乗車する写真家が、2年半に及び撮影し続けた車窓の風景を収めた異色の写真集がこちら。田畑や河川敷、建物の屋上や住宅街。衛星都市から農村、農村から衛星都市へと移動を繰り返しながら流れ去っていく窓外の景色に意識を集中し、瞬間的に捉えたのは名も知らない人々の営み。高速シャッター、流し撮りという技法を用いて、肉眼ではとらえきれないディティールを写し込み、断片的であるからこそよりイマジネイティブに、他者が生きる人生を想起させる写真群。何気なく過ぎてゆく日常の風景の豊かさに目を開かれるような一冊です。森山大道、上田義彦、飯沢耕太郎らが審査員を務めるVisual Arts Photo Award第14回受賞作。
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