なぜか木にぶらがさがっていた一本のスプーン。それを使えば子どもはご飯をもりもり食べられ、病気の子も元気になり、レストランの料理はおいしくなります。その話を聞きつけた暴君の王様がスプーンを奪い去りますが…。食べ物をおいしくするスプーンは平和の象徴、暴力で奪えばその素敵な力は消えてしまう、そういう教訓も含まれているお話のようですが、なんといってもスプーンを使う登場人物たちの表情や、丸いスプーンの愛嬌ある姿に思わずこちらも微笑んでしまいます。70年代絵本独特のキッチュな雰囲気も可愛らしい、素敵なスプーン物語。巻末にはオリジナルの「すぷーんのうた」までつけられて、最後の1ページまで楽しい一冊です。こちらは古書となります。少し綴じがあまく、経年相応にくたびれたところもありますが、おおむね古書として標準的な状態です。