大正時代の京都に生まれ、京都で育った料理研究家、大村しげ。得意とする京の四季の食と暮らしをテーマに「暮しの手帖」へ連載したエッセイをまとめた一冊です。祇園の料理人を父に持つ彼女は「おばんざい」を全国へ広めたことで知られ、昔ながらの京都の生活上のしきたりにも精通していました。さらに文筆家としても才能を開花させ、京ことばを取り入れた独特の語りかけるような文体は、穏やかで魅力的な彼女の人となりを伝えます。季節折々の食材に彩られる家庭料理、町屋住まいからうまれる始末と工夫の知恵、そして暮しのひだに向けられるやさしいまなざし。ゆたかな感性によって綴られる、素朴ながら味わい深い暮らしのエッセンスがつまった、ザ・ベスト。花森安治の挿絵と、伊藤まさこのあとがきを付した新装版でのお届けです。
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