映像作家であり文章も多くものした著者が、普段の生活のなかで見聞きしたよしなしことを優しくすくいあげた穏やかなエッセイ集。暮らしのこと、本のこと、テレビのこと、そして母・萩原葉子のこと。日々の出来事、遠い記憶、それらの中から浮かんでは消える想念をこの人らしくさらりと書き上げた様にはどこから読んでも心地よい空気が流れます。自身の手がけるコラージュを挿入しつつ、短い中にそのエッセンスを凝縮した、ささやかながら美意識の高い一冊。装幀は串田孫一。帯付き。カバーに細かなキズと変色が若干みられますが、おおむね古書として普通の状態です。
著者:萩原朔美 / 出版社:青娥書房 / 156mm × 206mm / 62P / ハードカバー /1976年初版