テディ片岡とは、６０年代から現在も旺盛な執筆を続ける作家、片岡義男のペンネーム。本書は角川文庫の鮮やかな表紙で一世風靡する以前のライター時代の彼の面影を伝える一冊です。当時のアメリカ産ポルノ小説12篇を茶目っ気たっぷりに抄訳したた他愛のないお色気小説集である本書の見どころは、テディ片岡自身のあとがき（『アメリカ泰平ムードの落し子』）です。アメリカのポルノ小説ブームを背景に、アメリカ、そして当時の日本ついて論じた評論で、時代と共に埋もれていく一端のライターにおさまらない固有の作家としての顔が伺え、ふざけた調子の文体でありながらも読み応えがあります。片岡義男ファンはもちろんのこと、この時代の瀟洒ながらも、いかがわしさ漂う古書がお好きな方にもぜひともおすすめしたい一冊です。鉛筆による薄い線引きが数箇所あり、小口シミ等ありますが古書として状態は普通です。

商品情報

著者：テディ・片岡 / 久保書店 / 122mm × 180mm / 257P /新書/ ソフトカバー / 1964年発行 / DG