ご無沙汰しております。いよいよ夏真っ盛り、厳しい厳しい盆地の暑さの中、自転車中心の生活を送る京都人にとってふらりと迷い込める喫茶店やカフェはまさにオアシス。息継ぎするように一服しながら自転車移動の毎日です。 |
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第二十回 KAFE工船さん KAFE工船。そこでは情け知らずの恐ろしいマスターが、低賃金日雇いのアルバイトスタッフに重いコーヒー豆を運ばせ、客にまで労働を強要、本棚には小林多喜二の『蟹工船』が1冊あるのみという殺伐としたスペース。アルバイトスタッフはストライキを試みるが・・というところでは全くありません。本格的な美味しいコーヒーを提供してくれるファクトリースペース。喫茶好きでありながらコーヒーに関してはド素人の店長が、初心者目線でお話を伺ってまいりました。 (INTERVIEW , TEXT BY 堀部篤史 / PHOTO 椹木知佳子) |
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−メニューはコーヒーがメインなんですよね。 (以下「」内はKAFE工船店主 瀬戸さん) 「今の所はそうですね。ケーキはある時とない時があります。あとは季節のお茶、コレは毎月変わる予定です。近々始める予定なのがトースト。柳月堂(*1)さんからパンを仕入れて、ジャムは自分で作ろうかなと。」 − 僕普段コーヒー飲まないので、あっさりした飲みやすいのをお願いしたいんですけど。 ー (カメラマン)『私はカフェオレを頂きます』 「それでしたらブラジルの中煎りがいいかもしれませんね。酸味ない上にあっさりとしていて口あたりがいいんです。カフェオレだったらエチオピアの中煎りで作ると口当たりがマイルドに仕上がりますよ。」 − じゃあ、それでお願いします。ここはオープンしてからどれくらい経つんですか? 「去年の5月1日にオープンしたので、1年とちょっとですね。奇しくもメーデーにオープンしてるんです。」 − 工船だけに。そこに飾ってあるポスターもカストロ(*2)ですよね。蟹工船といい、カストロといい、共産党員かなんかですか? 「いやいや、深い意味はないんです。お店をオープンする時にオオヤ(*3)から、お前はまだまだ焙煎にしてもカフェ経営にしてもヒヨッコなんだから『蟹工船』(*4)みたいに働きまくれというふうに言われまして。一応(『蟹工船』を)読みましたけど、今の若い人がこれを真に受けて読んでるって言うのも信じられませんよね。死ぬまで働けバカヤロウとか、当時は真剣に読まれてたんだろうけど・・。」 − コレ書いた小林多喜二拷問されてますもんね。労働組合もある現代とはちょっとかけ離れてますよね。それにしてもそのカストロがゴルフやってるポスター、いい写真だなあ。 「本当はあれに吹き出し描いて『キューバあります』ってやりたかったんですけど、キューバあんまり入らないんですよねえ。」 − 隣にある自転車は? 「自転車屋さんなんですけど、今日は店主が休みです。可愛子ちゃんとデートしてます。そもそもこのビルって元は進駐軍の病院だったらしいんですけど、ダムタイプ(*5)が事務所兼練習所に使用したり、ギャラリーがあったりかなり個性的な方が集まっていて。このスペース自体、自転車屋さんと焙煎所とカフェとガラス作家さんの直営店が一緒になった一つのお店という感じですね。」 − そもそもお店を始められる前って何されてたんですか? 「もともとオオヤが経営してたパチャママ(*6)っていう喫茶店でアルバイトしてたんです。時期的に最後のスタッフだったんですけど、オオヤが店を辞めて焙煎一本になった後は実家の手伝いしたりフラフラして。でもバイトしてたときからやっぱりカフェやりたいなっていうのはあって、紆余曲折合った後、オオヤにも相談に乗ってもらいこの店をオープンしました。」 − オオヤコーヒさんとこちらのお店はどういう関係になるんでしょうか。 「よく勘違いされがちなんですけど、オオヤコーヒを扱っているお店ではなく、オオヤさんと共同で焙煎しているコーヒーが飲める店という方が正確ですね。ファクトリーワークスという風に呼んでいるんですが、オオヤが作った味、焙煎方法をそのまま受け継いでやっています。」 − 味を作る、とおっしゃいましたけど、具体的にコーヒーの味ってどのように決まるんですか? 「どこからどんな豆を入れてくるかというのも勿論大切ですけど、同じブラジルの豆でもそれをどのように捉えるかによって全然味が違ってきます。深くも浅くも焙煎することは出来るし、オオヤとは味を見て相談しながらこの豆はこう、というひとつの味を創り上げていくという感じですかね。たしかにブラジルがブラジルじゃない味みたいにがらっと変わることはないですし、良い豆を使えばそれなりに美味しくはなるんですけど、必ずしもスペシャリティ(*7)を使えば美味しいかというとそうではないのがコーヒーの面白いところですね。」 − ここで焙煎しているコーヒーは他のお店でも飲めるんですか? 「京都市内にも卸させていただいております。その豆は、KAFE工船でオーヤが焙煎したり、私が焙煎したりしています。最近は美味しいコーヒーを出す店が増えて来てますし、この人の焙煎が好きとかそういう楽しみ方をされる方が増えれば嬉しいですね。最近はカフェでごはんをしっかり食べて、っていう風潮ですけど、やっぱり喫茶店とかカフェってごはん食べてお腹もいっぱいになったけどもう一件ゆっくりしに行こう、という気持ちの余裕のようなものの象徴じゃないですか。」 −嗜好品を扱っているということもあって存在自体が嗜好的ですもんね、喫茶店って。コーヒー以外のものも厳選されてるんですよね。 「自家焙煎のコーヒーにメニューが偏っているんで、コーヒーを飲まない人が来られた時に困らないようにお茶なんかもこれは美味しいというものがあれば紹介出来るようにしています。今日はシードルもありますよ。」 −あ、じゃあそれ一本頂けますか。今日休みだし。ところでドリップって・・・ |
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| この後も基本的コーヒー談義は続き、気が付くとあっという間に2時間。午前中からダベリながらコーヒー飲んでお酒飲んで外の陽射しを避け、のんびり寛げることの贅沢さを改めて噛み締めました。全てのカフェは心に潤いをもたらせてくれる無形文化財。頂いたコーヒーも飲めない自分でも非常に飲みやすく、美味しさを巧く説明出来ないのが残念ですが、独特の空間も含めコーヒー好きならば一度は訪れてみることをお進めします。 *1 出町柳駅前にある創業50年以上の老舗パン屋さん。2階にある格調高い名曲喫茶も有名。 |
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〒606−0841 営業時間 12時〜20時まで
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■メニュー ※季節によって変わります。コーヒーの豆の種類も時期によって変わります。今後トースト、手作りジャムもメニューに加わる予定。 |
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