わざわざ遠方からお越しいただくお客様のために、当店の帰りにふらりと寄ることの出来る周辺のお店をご紹介。ご好評をいただいた第一回目のお店探訪インタヴューに引き続き、今回もたっぷりお話を聞いてきました。人見知りのため、実はあまりお話した事がなかったにも関わらず、ごまクッキーと紅茶までいただきながら楽しくお話させていただきました!

第二回 「東風」さん

 

第二回はご近所の天然酵母のパン屋さん「東風(こち)」さんです。メイン ディッシュのお供に、またはワインやチーズと食するにピッタリのパンはまさに食卓の名脇役。控えめでなおかつ存在感がある、そんなパン作りをされている東風さんのお話を聞いてきました。

(INTERVIEW & TEXT BY 椹木 知佳子)
2006/4/22


店主 山岸訓子(のりこ)さん


パンいろいろ。通販の申し込みもできる。(FAXのみ受付。 075-722-7855


2006年2月5日〜20日に開催された「ぱんと人形の楽しい集い」展で作られたパンの中のとり。オーナメンととして現在もディスプレイされている。


実は日々育っている酵母。「穴が空いているところからガスが出てきているんです」(山岸さん)


ミキサー。かわいい。古いものを中古で譲ってもらったとのこと。まだまだ働きます。


竹籠や木の器に並べられたパン。値札はすべて和紙に手書きで。

どうしてパン屋さんを選ばれたのですか?

(以下、「」内は東風店主、山岸訓子さん)

「短大を出た後、就職するにあたってどうしようかなと。そう考えると昔から物を作ることが好きでした。その中でもパン作りだなと思って。みんながリクルートスーツ着て就職活動している時に、私はパン屋さんでバイトをしながら各地のパン屋さん巡り。その後山梨の天然酵母のパン屋さんで働かせてもらった後、25歳の時に山梨でパン屋開きました。4年やってましたが、その後家族が亡くなった事もあって京都に帰ってきました。」

− いきなり山梨なんですね。25歳でお店を持つのも早いですよね。

「みんなに言われます。なんで山梨なん?って。でも、頑固なんで...。山梨のパン屋では天然酵母のパンを作っていたので、そこで色々学ばせてもらいました。25歳で店を持つのはやはり世間的には早かったのかもしれませんが、自然な流れで...」

−一乗寺を選ばれたのは?

「詩仙堂(*1)が好きで。なんか落ち着きますよね。あと恵文社さんもきさら堂(*2)さんも好きだったので近くで始めることにしました 」

− 以前人形作家のにしおゆき*3さんと展示会されていましたよね?どういうきっかけで?

「山梨時代に友達の紹介でにしおさんの作品を知って、すごく可愛いので少しずつ買い集めた作品を店内に飾ってんたんです。いつか販売できたら良いなと思っていました。にしおさんは「下らなくも愛しいモノたち」をモットーにして作品づくりをされていて、その最もたる物は「おまけ」だと。いつかおまけみたいなものをやってみたかったらしいです。それも折角なら美味しくて喜ばれるものがいいなと。縁あってお客さんの中から私を含むパンやお菓子を仕事にしている人との出会いがあって、やっと実現したそうです。前は太陽カフェ(*4)さんでクリスマスにお菓子の中に人形を入れて販売されたんですよ。それ、うちではパンの中に人形。とても好評でした。またするかもしれません。」

− 私も買いました!パンの中に肩のりネコと女の子の人形が入ってるやつ。
− 天然酵母*5の魅力って何ですか?

「天然酵母って何からでも出来るんですけど、うちは林檎と人参と長芋を発酵させたものなんです。酵母の配合が違ったり、小麦粉などの素材の選び方や配合の加減などで味は変わります。大体は天然酵母でパンの善し悪しが決まるので、そのさじ加減が醍醐味ですね。パンを作る...というかそ の前の天然酵母を育てる過程に興味が湧きました。イースト菌などで作るパ ンはできたてが美味しいですが、天然酵母のパンは1日くらい置いたほうが酵母がなじんで美味しいです。常温で4〜5日、冷凍庫に入れると1ヶ月は日持ちしますよ。 味がシンプルなんで色んなアレンジで食べれると思います。」

− 東風さんのパンって惣菜パンがほぼ無いですよね。フランス料理とか...肉 料理とワインに合いそうなパンですよね。こだわりがあるんですか?

「ありがとうございます。そうなんです。食事をパン1つで終らせて欲しくないんですよ。パンは控え目にあるものだけど、重要なもの。メインはおかずですよね。食事を楽しみながらパンも食べて欲しい。」

− その通りですねっ。私なんか、いつも弁当かきこんでますよ。ほとんど飲んでますね。

「(笑)。そうですね。そう言うてる私がかきこんでたりね。でも意識するのが大切やなって思ってるんです 。生きるのに必要なことじゃないですか。食べるって大事ですよね」

− 一人でやってて難しいなって思うことってありますか?

「ありますよ〜。今すぐしなアカン事が4つくらい同時にあったり。電話もかかってくるし接客もするし。でも全部自分でしたいんですよね。作ったものをどんな方が買っていってくれはるのかも見ていたいし。お客さんが良い方ばっかりで、レジしててもブザーが鳴ったら教えてくれたりね。体調が悪くても店を休むということはありません。酵母も育てているし...。早朝から夜遅く までいるんで、家では何も出来ませんね。オヤジ化してます。食って寝る(笑)」

− お店の内装、素敵ですね。こういう感じ(?)がいいんですか?木のイメージが強いのですが、ディスプレイ用の器や照明などにもすごくこだわりがありますよね。

「自然の素材が好きなんですよ。木とか、竹籠とか、和紙とか。店の壁も和紙のクロスを貼っているんですよ。」

− 東風さんから読者の皆様へ一言どうぞ

「近くを通らはったら...見つけにくいけど、気が付かはったら是非寄ってく ださい。」

店内に入るとスーとにおう酵母。そしていつも元気、いつも笑顔の山岸さん 。一生懸命つくったパンを食べて欲しい!という気持ちが詰まってます。そ ういった人柄に触れると、その分味わってゆっくり食べたいなあ...と思わずにはいられません。パン屋さんは早朝から閉店後も夜まで作業が続くようです。私たちがペロリとパンを食べている間にも、酵母は育ち、山岸さんはせっせとをパンをこねているんでしょうね。美味しいパンと店主さんの人柄に触れられるあったかいお店です。皆様、是非お立ち寄り下さい。

*1 江戸初期の文人、石川丈山が隠棲した山荘。 山の斜面、谷間を使った庭園で、季節に咲く花や紅葉が見事。一乗寺下り松町から徒歩5分
*2 当店から徒歩5分以内のオーガニック系カフェ。2週間替わりでギャラリーも併設。こちらの定食&コーヒーもおすすめ。
きさら堂サイト http://www.cam.hi-ho.ne.jp/kisara/
*3 陶器の人形作家。「くだらなくも愛しいモノたち」を作ることがモットー。水彩のような色合いが可愛いです。東風さんで販売中。
にしおゆき おるがん社サイト http://www.organsha.com/
*4 京都造形芸術大学の近くにあるカフェ。京都市左京区北白川堂ノ前町39-6 太陽ビル1F
*5 パンを膨らませる目的で使用する材料の一つで、イースト以外の自然界に存在する微生物を自然培養したものを指します。果実や野菜、お米などを発酵させて酵母を作ることができます。

 

パンメニュー(一部)

いちぢくパン 500円
ごまパン 大250円 小100円
ライ麦パン 大400円
あんパン 150円
ごまクッキー 200円

   
 

 


東風

〒 606-8184
京都市左京区一乗寺払殿町 12-17
ソアービル1階

Google mapで詳しい地図をご確認いただけます

TEL&FAX 075-722-7855

10 : 30 〜 19 : 00 月・火曜日定休

 
 

 

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