創刊準備号で、多くの待ち人を生んだ「ドノゴトンカ Donogo-o-Toknka」。そのつづきが「前夜号」として新たに刊行されました。今回の特集は「辻 潤 遺墨」。2009年に京都・徳正寺にて開催された「辻潤遺墨書画会」を軸に、思想家でありダダイストの中心人物であった辻潤の遺した書を鑑賞し論じる、この雑誌にしかできない稀有な眼力と特異な美しさに満ちた一冊となっています。最初のページを一枚めくれば、独特の文字が古びた紙を模した背景に浮かび上がり、見るものを引き込む力をみなぎらせている不思議。これらの書を皮切りに、辻潤の生涯を様々に追う読み応えのあるページが拡がります。久保田一「辻潤の遺墨書画について」、荻原魚雷「辻 潤と吉行淳之介」、野口良平「『大菩薩峠』を読む辻潤」・・・など辻潤の在り方に感応せずにはいられない書き手たちが次々登場し、その読み応えは折り紙つき。辻潤という人の持つ凄み、あるいはある種の軽やかさの宿ったその真髄を伝えてくれる、期待を裏切らない一冊です。ほか、内堀弘氏と季村敏夫氏による、お互いの本を紹介しあういわば交換書評とも呼べるページもみのがせません。今回も羽良多平吉氏の美事なアートディレクションでお届けする「ドノゴトンカ」。n.0.5とされる今号の次がいよいよ創刊号となるようですが、この号でさらに多くの読者を魅了し、待ち人を増やす事でしょう。